2024/07/24 16:36
簡易的とは言えオシロスコープが手に入りましたので、やってみたかった実験をしたいと思います。
それは「Cal.PC系ムーブメントのモーター駆動は、現在でもイーグル回路を使用しているのか?」という個人的な疑問です。
(調べてみましたら【セイコーミュージアム銀座】のサイトの中で「ステップモーターのパルス幅補正駆動」と説明されていましたので、補足したいと思います。
アナログクオーツ時計はモーターを回転させて歯車を動かします。
基本的に電圧は電池電圧ですので、パワーを上げるにはパルス幅を広げるのが有効です。
しかし少ない電力で長時間駆動させるために、できるだけパルス幅を狭くしたいのです。
ざっくり言うと、パルス幅を半分にできれば電池寿命は2倍に伸ばせるからです。
そこでSEIKOは考えました。
「通常は小さいパルス(P1)で駆動させて、動かない時だけ大きいパルス(P2)で駆動させよう。」
これががイーグル回路の概略です。
私が教えていただいた頃は、イーグル6(P1固定)とイーグル7(P1可変)が主流でした。
その後はイーグル6に統一されていったように覚えています。
Cal.PC系ムーブメントの駆動波形(P1)
(本来は綺麗なカーブ波形なのですがギザギザ波形になってしまいました。)
P1幅は5ms以下であることがわかります。
負荷を加えた時の駆動波形(P1+P2)
P1で回転出来ない時、瞬時(約30ms後)にP2を発生させていることがわかります。
よって現行のCal.PC系ムーブメントは現在もイーグル回路を搭載している。という結論に至りました。
省電力には有効な機能ですが、実は弊害もあります。
本来動かない負荷でも強制的に動かされてしまうため、そのことに気が付きにくいということです。
P2が出ていることが目視では判別しにくいため見逃されてしまいます。
アナログ腕時計が止まったので電池交換したのに半年ほどで止まってしまった場合、その原因はこのP2発生によるものであることが考えられます。
もし新品でもこのような現象がみられる場合は、その多くは秒針がガラスに擦れている事例が多いのでよく観察してみてください。
顕微鏡を使うと秒針先端にニュートンリングという現象が見られます。